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なぜ?柔道やレスリングの経験者に水虫が多い理由

2020年07月16日

これまで海外でしか繁殖が見られなかった、新型水虫菌であるトリコフィトン・トンスランスが近年日本各地に持ち込まれ問題になっています。柔道やレスリングの経験者など、人体と接触する機会の多い格闘技経験者を中心に感染が広がっているのが特徴です。

水虫の原因菌である白癬菌は角質層に潜伏して、タンパク質成分を食べて増殖する寄生型の生物です。体表面の皮膚に潜伏すればぜにたむし、頭部に感染すればシラクモと呼ばれます。この新型水虫菌であるトリコフィトン・トンスランスによる症状は、上半身や首・頭皮に現れやすくたむし・シラクモと同様の症状を引き起こします。菌の名称にちなんでこれをトンスランス感染症と呼びますが、従来の白癬菌による症状よりも軽く、擦り傷や単なるかぶれと誤認されることも少なくありません。

柔道やレスリングといった接触スポーツで触れる確率の高い顔・首や頭皮、上半身を中心に症状が見られるのがトンスランス感染症の特徴です。通常のシラクモと同様にかさぶたや肌荒れのような症状が見られる場合もありますが、多くは軽微なものでなかなか気付くことはありません。特に頭皮に至っては、専門的な医師が入念に調べてようやく診断できるほどであるため、発見が非常に困難であることも病気が広まりやすい一因となっています。

海外より原因菌であるトリコフィトン・トンスランスが持ち込まれた原因・理由は、2001年前後に行われたスポーツ交流が有力とされています。1990年代よりアメリカやヨーロッパでは菌が既に発見され広まっていましたが、日本では当時数件の発症例が報告される程度でした。しかしスポーツ交流によって2001年以降、日本各地で学生の格闘競技者・部員の集団感染が多発し、保菌者を調査した所これまでの白癬菌と異なったため接触スポーツを通じて持ち込まれたのが主な理由として認識されています。

トンスランス感染症の厄介な点として、水虫の原因菌である白癬菌よりも角質層への侵入速度が速い点が挙げられます。さらには感染力が強く、接触スポーツ選手同士はもちろんその家族や周りのスタッフにもすぐに感染するのが特徴です。一度感染すると治りにくいという点も、警戒すべきポイントとして挙げられます。塗り薬やスプレー剤での効果は薄いため、内服薬による治療がベストです。予防策としてはトレーニングの後にシャワーを欠かさないこと、抗真菌成分を含んだシャンプーの使用が挙げられます。